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「ニイナぁ……俺がもしコレ付けてなかったら、お前の術になんか当たらないもんね!! へっ」
俺はギチギチと音を立てて腕を曲げ伸ばしてみせる。
鉄を螺旋状に巻いた“ばね”を、ほとんどの関節に取り付けてあるせいで、動きにくいのなんの。
さらに背中には身の丈を超える大剣。
……どこからどう見ても俺の方が不利だ。見た目だけなら“負ける練習用の人形”だろ。
「じゃあ外せば?」
ニイナがあっさり言ってきやがった。
……こいつ、ほんと見も蓋もないな。
「意味ねぇだろ。なんのための修行だよ。バカじゃね?」
しれっと返したつもりだったが――
「バカですって?」
うおっ!? やべぇ。
ニイナの背後から黒いオーラがむくむくと立ち上がってるじゃねぇか!
冗談が本気で命の危機に直結する女って、どうなのよ。
「あ、いや、取り消し取り消し! ニイナはバカじゃない! バカじゃないぞぉぉ!!」
慌ててなだめてみるが、効果は皆無。
こいつの笑顔の奥に光る瞳が、一番こえぇんだよなぁ……。
「……あたしも一応さ、魔力が拡散しちゃう道具付けてやってるんだよ?」
ニイナは俺を睨みつつ、手の甲を掲げて見せる。
そこには“魔珠”を埋め込んだグローブ。
魔力が四方八方に拡散してしまうよう細工してあって、普通ならまともに魔法を発動できない。
だが、そんな状況下でも術を組み上げられるようにすることで、いざ外した時に放つ魔法は――桁違いに重い一撃になる。
つまり俺が「体の重り」で自分を鍛えてるのに対して、ニイナは「魔力の重り」を課して修行してるってわけだ。
……ちっ。
意外と真面目にやってんじゃねぇか、この泣き虫。

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