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そいつはしまったという苦笑をして…で?と続きを促した。
「…俺はあいつの事は知ってる。
まぁ幼なじみってやつだしな。だからこそ、だからこそ聞く。
お前どうやってあいつと付き合えたんだ?」
出来るかぎりさりげなくちょっと興味があるという感じにそういうとふーん、と全てを悟ったかのようにそいつは笑った。
だから嫌なんだこいつは。
はぁとため息をつくと、しかたないというふうにこいつもはぁとため息をついた。
「…確かに僕と良太郎は両思いだけど。」
「あぁだからどうやって…」
「でもさ、好きあうっていうのは付き合うって意味とは違うよね」
ぁ?と怪訝な顔をする俺をはぁといいながら笑った。
「…僕良太郎に『僕には良太郎しかいないんだよ良太郎が好きなんだ愛してる』って死ぬ気でいったんだよね。
ほんと有り得ないぐらい死ぬ気で
…うん、あの時の僕ってほんとすごいかった。
だからさ、『僕も浦のこと好きだよ』って、ちょっと赤くなりながらあの可愛いふわっとした笑顔でいってくれた時本当に泣きそうになったよ。」
「…惚気は聞いてない」
イライラとしながら腕を組むとそいつは苦笑いしながら違うよと苦笑した。
「で、好きだっていったら付き合おうってなるじゃない?」
「…まぁ」
「でもさ、良太郎は違ったんだよ。付き合ってっていったらさ、あの可愛い仕種で首を傾げて…『どこに?』って」
あぁなんだかよめた気がする。
俺は初めてこいつに哀れみの目を向けた。
哀れだ。
哀れすぎる。
「…だから他人には僕らは付き合ってると思われてても…多分良太郎は付き合ってるって思ってないよ。
だからさ、僕ちゃんには悪いんだけど」
「いや、…俺が悪かった」
好き=付き合うの方程式は通じない。(だから『好きな人』の位置にはいられても『恋人』という位置を望むのは無謀だよ!)
好きな人から彼氏になりたいなとそいつは冗談まじりに呟いたつもりだっただろうがその響きは案外切実そうでこっちが泣きそうになった。
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