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「良太郎大好きーー」
にっこりと笑ってリュウタロスはいった。
エヘヘと笑う人懐こいのに案外好き嫌いの激しいリュウタロスを見て、気性の荒い猫に懐かれたような、そんなむず痒い気持ちになりありがとうとこちらも笑う。
「だから、特別に良太郎に決めさせてあげる。」
へ?何をだろう。
何を、と言いながらコトン、と首を横へ傾げるとエヘヘとリュウタロスは笑った。
「えっとー、良太郎の倒しかた!
倒しかたによってはね、痛かったり苦しかったりするんだって、聞いたんだー
良太郎はさ、苦しいほうがいい?やっぱり苦しくないほうがいい?
ゆっくりのがいい?それともすぐ倒されたい?
僕はゆっくりするつもりだけど、良太郎が嫌だっていうならそーしてあげる」
大好きだから特別!
にこり、純粋に好意を語った時と同じ笑みをもって聞く。
ヒクリと微かな怯えを見せた良太郎に笑みを深くし子供特有の無邪気さをもって銃に見立てた泡の玩具をその手に持ちながら顔を近づけ甘えるように抱きしめた。
「大好きだよ良太郎ー」
そういった声はあまりにも純粋で、しかしそれゆえに歪んでいる。
良太郎あったかくってお姉ちゃんみたいーと笑うリュウタロスに少しだけ、息をはく。
「…そ、だね。まだやることがあるから、死にたくはない、かな」
呟く言葉にきょとんとしてなんで良太郎が死ぬの?とリュウタロスは首を傾げた。
その言葉に良太郎のほうもきょとんとする。
「ボク良太郎を倒すっていっただけだよー?」
心底理解できないというように眉をよせる。
その様子にそっか、と曖昧に微笑を作った。
この子供は倒すという意味がわかっていない。
それがもたらす『結果』をわかっていない。
行動を起こすと結果というものが自分に対して反ってくると、答えが返ってくると理解していないのだ。
「リュウタロスは…子供だね」
えーなにそれ!ぼく子供じゃないよ!と子供は手に持っていた泡の銃を良太郎の心臓に向ける。
『ばぁあん!』
もしこれが本当の銃だったら良太郎倒せてたのにね!と子供は笑った。
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