君達は僕の幸運の星だった

泣かないでマイヒーロー

良太郎はなんで泣かないんやろな、とたまにだが考える時があった。
なんで良太郎は泣かないんや。

泣くのはいい事だ。

泣くというのは大体において嫌われるものだが、案外いいもんやと黄色は思う。
泣くというもんは疲れとか苦痛を取り除いてく効果があるらしい。

まぁ、細かい難しいことは専門家に任せとけばいい、わかりやすくいうと…そう、泣いた後はすっきりするやろ、という所か。

目とか鼻とかは少し痛くなるが。
しかし、溜め込んでいるものを出すのには絶好のチャンスや、涙を流すという作業は。

だからこそ、黄色は思う。

なんで良太郎は泣かないやと、

亀のようになにかを信条にしとるわけやない。（泣くんはダサい事やと思っとる阿呆やからな、あいつは）

しかも、良太郎の周りには不幸で溢れている。（…残念やが、こんなことを考えてる俺自身も含めて、）

それなのに、良太郎は泣きもせずに笑っていて、

何故か良太郎にだけ集中して起こる不幸な事もへにゃっとした笑みでしかたないね、と笑って、

時には、僕は慣れてるから大丈夫といいながらその不幸が違う人に降りかからなくてよかったと安堵の笑いさえする有様で。（強いんはわかるが、それはないやろ）

前に一度だけ、泣くんもいい事やで良太郎、といった事がある。
そうしたら、ちょっとびっくりしたような顔をして、キンタロスは優しいね、ありがとう。でも…僕悲しくないし大丈夫だよとまたあのへにゃっとした笑顔で笑った。
俺が優しいとなると良太郎はその倍は優しいやつやないか、と思った事を覚えとる。

せやから、良太郎はいつかこのまま泣かないでいたら壊れるんやないかと心配していた。
だから、今回泣いてるのを見たとき安心したのも確か、

確かなんやが、

「…なぁ」
「…なぁに、キンちゃん?」
「…もう良太郎が泣いとんのは見たくないなぁ」
「…うん僕も同感」

『泣かないで！マイアンラッキーヒーロー』

あかんなぁ
泣けばええと思っとったが、こりゃ心臓に悪すぎる！
あんなん何度もくらってたらこっちがまいってまうで
良太郎の涙は誰よりも最強やなぁ！
勝てるきせぇへん