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「サンタさんに頼むクリスマスプレゼント…なににするか決めた?幸太郎」
少し照れ屋でとても可愛いらしい孫に良太郎は微笑みながら話かける。
その声に拗ねたような大きい瞳がこちらを向いて、あれ?と首を傾げた。
何か不機嫌になるようなことをいっただろうか。
「…僕だってサンタさんなんていないの知ってるんだよ。おじいちゃん」
普通サイズより少し大きめなテディベアを抱きしめながらぷくっとしているその姿に、あぁそういえば去年孫は学校の心ない学友にサンタの存在を片っ端から否定され馬鹿にされたんだったなぁと思い出した。
皆いつかは通る道なのだが、少し、寂しいなぁと孫馬鹿であると自分でも自覚している良太郎はそう思う。
寂しいなぁ。
でもこれが大人になるってことだしと自分を納得させる。
「でも、幸太郎はなにか欲しいもの、ないの?」
その声にテディベアの後頭部へ顔を埋めていた幸太郎がちらりとこちらを向いた。
ある、みたいだ。
首を傾げながら待つ。
しばらくそうしているとぼそぼそと照れて小さい声で幸太郎は願いをいった。
その声に頷きながら良太郎はじゃ、契約成立ねと未来人達のキメゼリフをいいながら笑った。
「…で、その時貰ったのがテディなんだよ」
良太郎の孫だと名乗る少年がそういった。
あれ?とイマジン達は思う。
おかしい
たしかこの子供の願いは
「…『動いてカッコイイテディが欲しい』っていったのに怪物を連れて来られた時、おじいちゃんのセンスのなさに気付いたんだ。…今はテディに会えてよかったって思えるけどさ、」
あの頃は軽くトラウマになったと語る少年にイマジン達は何も言葉が出なかった。
『テディの秘密』
(「良太郎…」
「普通の人からみたら怪物な僕等が…可愛いテディベア、ねぇ」
「幼児は普通泣くで…」
「良太郎っておじーちゃんになってもセンス悪いー」)
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