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「……な、に?りょーたろー」
声が震えるのを必死で抑える。
良太郎から流れてくる空気があったかい。
「ううん。なんでもないんだけど…なんか心配になって」
寝てないみたいだし、この回線?ってこういう時便利だよねと笑う。
「…なんで?」
なんでとリュウタロスに問われてなんでだろう、わからないけどと苦笑いをする。
そんな良太郎にイライラする。…なんでかわかんないけど。
なにが心配だったわけ?ボク別になんともないし
眠ってなかったのもただ…眠くなかっただけだし!!
りょーたろーは何もわかってない!!!
なにもしらないでっ何も知らないくせに…
まるで責めるような言葉を一方的に吐き出す。(なんか心臓がぐちゃぐちゃして何をいったかわからないけどきっと他にも酷いこといっぱいいった)
自分でもなんでこんな事言うのかわからない。
なんだか心臓がぐちゃぐちゃして気持ち悪い。
自分でもよくわかってないでただ言葉を吐き出す。
でも良太郎はその一言ひとことにあったかい声でうんとかそうだねと言葉をかえしてくれた。
なんだかそれはとってもあったかくて。
殆ど出すものがなくなったのか言葉が止まる。
でもまた声を出したらよくわかんない事をいいそうで口を閉じる。
そんなボクを感じてかいつもの困ったような顔で…優しく良太郎は笑った。
心臓の所がすごく痛くて絵をにぎりしめている手を当てる。
手に持っていた良太郎の絵がさらにぐしゃぐしゃになった。
(りょーたろーは何も知らないくせに、)
心の中で呟く。
こんな言葉じゃなくて違う言葉を言わなきゃいけない気がするのにその言葉が見つからなくて苦しい。
大丈夫だよリュウタロス、大丈夫だからという声が泣きたくなるほど優しくて。
(絵を握りしめる子供の姿はまるで何かに縋り付いているかのように見えた)
『お願いだから、ボクに君を殺させないで』
声は自分にさえ届かずに消えた。
お題『お前に何かがわかるのか?(何も知らないくせに)』
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