嫌いだよ本当に

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なんだろうこの感じは 自分が彼を傷つけた言葉を発したってだけで、僕が傷ついたとかそんなわけないのに(しかも当の本人はどうも思ってないかのように微笑んでるし) なんだか心の中がざわざわして気持ち悪い。 「…どうしたのウラタロス」 「…なにが?」 「泣きそうな顔してる」 良太郎の指先が頬を触る。 何言ってるの、良太郎僕が泣くわけないじゃないと口に出す。 すると良太郎は痛そうな顔をした。 わからない。 何故だろう。 気付いてないのと彼は呟く。 なんの話なんだかわからない。 (本当わけわかんない) 「自分が傷つくような嘘ついちゃダメだよウラタロス」 良太郎の声が静かに響く。 自分が傷つく?僕が傷ついてるって? 僕がいつ… 「…僕がいつ嘘ついて傷ついたって思うの?」 返事の代わりに良太郎から笑みが帰ってきた。 その笑みはなんだか全てを見透かされているようだ、なんて頭のすみで思う。 「…やっぱりさ、僕は良太郎の事嫌いだな」 そうまた繰り返した嫌いだという言葉を良太郎は静かに笑顔のままでそっかと返した。(やっぱり嫌いだ、君の前だと嘘つきでよく口が回るはずの僕がうまく言葉を出せないんだから。) 『嫌いだよ、本当に』 自分が崩れていく感覚。 死ぬほど嫌いなはずのそれに何故か拒めないのは彼からの言葉とその空気がとても居心地がよいとどこかで思ってるからか。
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