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翌朝。
『龍。あたし今日からいろいろあって朝早く学校いくから』
『そうか。何時までに行くんだ?』
『7:30。だから7時にはでるよ』
『分かった。おくれるなよ。今、何時だ?』
『7時。――行ってきますっ!』
何とか、口実をつくれた。先生と会えそうだ。が、遅刻寸前。やはり早起きはきつい。
ちょっとした、曲がり角で人とぶつかった。
『っ……ごめんなさい!』
落とした鞄を拾う。
『あれ?ゆず?』
『聖夜……』
『今日早くない?』
『う、うん。あのあたし――』
急いでるんですが。
『俺、朝飯パンのとき早いんだ。並ぶの、パン屋に』
『そ、そう、ですか。』
聖夜の開いた携帯に視線を向ける。7:25。
あぁ、何か覚悟しないと。
『あたし、行くから!また学校で』
話をきって、あたしはまた走り出した。
学習室に入ると、黒板上の時計は7:35になっていた。間に合わなかった。
『……5分遅刻だ。ゆず』
『す、すいません。早起き苦手で――』
息を整えるために大きい呼吸をくりかえす。先生は、少し微笑んでた。
『おしおきだな。』
『な、なんですかそれ……』
おしおきなんて聞いたことない。困惑する。
『携帯見なかったのか?』
『携帯……?』初めての言葉のように返すと、携帯貸せ、とぶっきらぼうに言われた。
あたしは鞄から携帯を探しだし、渡した。
慣れた手つきでボタンを押していくと、ある画面で手をとめあたしの前に差し出した。
[7/20 21:58 宮本先生
明日遅刻したら何かしらお仕置きしてやる。]
『あっ……』
メールの内容に唖然とした。
昨日一日中電源を切りっぱなしだった。
肩を落とすと、先生は『ほら、こっちこいよ』と椅子を引き寄せた。
『無理、無理です。先生、変態ですか!?』
思わず叫ぶと、先生がピクリと眉をあげた。
その表情に顔を紅潮させて、言わなきゃよかっと後悔した。
『そうかもなぁ……』
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