愛したいと心は言っていた

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「ただいま」 「なァに、また何か悪戯したんでしょ、」 「ちょっと、掃除の時にホウキ壊しちゃいやして…」 「まぁ!ダメじゃないの、」 ウフフ、やんちゃなんだからー…って。 笑う姉上が、霞んで見えた。 「?そうちゃん?どうしたの?」 「え?あ、いや、っ、銀八に連れられて入った部屋が、埃っぽくて…」 「そうなの?大丈夫?今タオル濡らしてきてあげるから…」 「いや、大丈夫、大丈夫ですぜ、姉上は座ってて下せェ、今晩飯作りやすんで、」 「え、本当に?そうちゃんの手料理なんて初めて食べるわ。」 姉上に背を向けて台所に立って、洗ってなかった食器を片付けにかかった。 ぽたりぽたりと、食器に溜まった水が揺れていた。 酷だなァ。 酷すぎる。 ゴシゴシ擦った後、水に反射した自分の目元は、痛々しい位真っ赤に染まっていた。 「今日の授業は晴れなので、外に出ましょう!」 いきなり言った銀八の言葉に、皆は唖然としていた。 あれから一週間たった、五時限目の授業。 「先生、いきなり何言い出すんですか、僕復帰したばっかでやっと授業できるって張り切ってたのに」 「あ?復帰?何言ってんだよパッツァン、お前ずっと休まず来てたじゃん」
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