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前を歩きフェンス手前で止まったチャイナが、俯くのが見えた。
「見くびるのも…大概にしろヨ…」
呟かれた言葉は…、震えていた。
「お前の事心配だから…ほっとくなんて、そんなの出来る訳ないヨ…」
ごしごしと、目元を擦る姿。
そんなに擦ったら、赤く腫れちまう。
「チャイナ…」
チャイナの元へ歩き出そうとした瞬間、先にチャイナが振り向いた。
案の定、目元が真っ赤に腫れていた。
そして…それ以前に、涙がボロボロと頬を滑り落ちていた。
「見くびるなヨ!!お前の事なんてお見通しアル!!何でも分かるネ!!分かる、わかるアル!…お前が元気ないのも、何かで悩んでんのも、ぜんぶ…ぜんぶ…アル」
一歩、近付いた。
また、一歩、近付いた。
こんなにも心配かけていた自分が、悔しく思えた。
「すき、だから…っ好きだから、何でもお見通しアル!!!」
くしゃりと歪んだ顔のソイツを、力いっぱい、抱きしめた。
「不器用なんだよ、バカ」
「…!」
「ごめん。」
ごめんな。
心配かけちまって。
こんなに泣かせちまって。
俺のせいで。
「分かれば、ヨロシ」
押し付けた肩から、か細く掠れた声で笑う、愛しい恋人がいた。
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