愛したいと心は言っていた

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「そうちゃん」 ワイワイと賑わう教室の、中を覗くように見る。 呼ばれた名前は、確かに自分の名前。 呼んだ声は、聞き覚えのある優しい優しい、 「あ、姉上!?」 「ミツバどの!?」 「…!」 驚いたのも無理はない。 だって姉上は、体が弱くてずっと入院生活を送っている筈なのだから。 「来ちゃった」 そんな、来ちゃった、なんて軽いノリで、しかも実の弟にも内緒で学校に来る事など有り得ない筈なのだから。 教室中が一気にシン、となる。 「おいおい、どうしたてめェら、久々にクラスメートが復帰してきたってのに久しぶり~の一言もねェのかよ、あーあーどうせ青春なんてそんなもんさ、て事でミツバ、先生と青春ライフを…」 後ろから背中を押すように入ってきた銀八にウフフ、なんて笑う姉上に、やっと、あぁ本当に、これは喜んでいい事態なんだと、クラス中が把握した。 「きゃっほうい!ドSの姉ちゃんが復帰アル!!」 「ミツバさん!」 「ミツバちゃん!」 チャイナバカのその言葉で、やっと皆が動き出す。 俺は呆然として動けなくて、そこに先生が隣にきた。
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