愛したいと心は言っていた

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何故か次の日にはチャイナが、昨日キスされた、と言いふらしていた。 教室に入るなり聞こえたその話題に俺は奴目掛けてかかと落としをした。 その日、姉上は来なかった。 昨日の夜に病院に運ばれて、はしゃぎすぎたのでしょう、と医者に言われ、一日安静にしてなさいと言われた。 「今日は皆に重要なお知らせがある。」 いつもよりも真剣すぎる銀八に、ワイワイと喋っていた皆は一気に静まった。 「お前らならこの話しをしてもいいと俺は判断した。だから、何があっても取り乱したりしないように。…先生からの、お願いだ。」 話し初めたのは、姉上の病気の事。 もう長くはないだろうって事。 この話しは、このクラス以外、姉上にも言わないでほしいという事。 「アイツには、思う存分このクラスで生きて行って欲しいんだ。」 皆は頷く事なく、茶化す事もなく、ただ真剣に、聞いていた。 「俺からも、お願い、いたしやす。」 俺は席から立ち上がり、頭を下げて、皆にお願いした。 「総悟、顔、上げろ」 力強い、近藤さんの声が響いた。 「皆もう分かってるよ。当たり前だろ、クラスメートだ、約束は守る。」 頷く皆の、気配を感じた。
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