愛したいと心は言っていた

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そう言った土方は、目を伏せ、眉を寄せた。 「なァ土方、頼む、お前がミツバをどう思ってんのかは知らねェけど、アイツは…アイツは確実にお前を…」 「うっとーしいんだよ。そういうの。重い。」 そっぽ向いてそう言った土方を、俺は…殴らずにはいられなかった。 派手な音と共に土方が倒れて、息を荒くして俺は、ソイツを睨む。 「姉上を、姉上を侮辱すんな。」 「…は、侮辱?んなんいつ俺が…っ」 胸倉掴んで引き寄せて、罵声を浴びせようとした瞬間、奴の顔が見えた。 悲痛に歪んだ悲しい顔。 「いつ俺が、侮辱した?重いんだよ、うっとーしいんだよ、いつもいつもニコニコニコニコ…、それをつい目で追っちまって、いつの間にかアイツしか見えねェ…それがいきなり消えるだァ?勝手すぎるだろ…、くそ、」 言葉が出なかった。 皆、皆、言葉が出なかった。 皆が泣いた。 何泣いてんだ、アイツはまだ死んでねェって銀八が言った。 もしかしたら助かるかもしれねェだろ? 奇跡が起こるかもしれねェだろ? だから最後まで、信じようって。 出来る限りの事をしまくって、後は信じて待とうって。 だから明日は、結婚式をしよう。
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