愛したいと心は言っていた

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「よう、」 「あァ…昨日は、悪かったな。」 「いいんでさ、…俺もアンタと同じようなもんでィ」 笑い合うそこに、壁はない。 「姉上を幸せにして下せェよ」 「あァ。絶対に幸せにする。」 冗談で言ったつもりなのに、土方はそう真剣に答えた。 それがどうしようもなく嬉しかった。 「ぷぷ、バーカ、冗談ですぜ!」 「俺は冗談じゃないぜ?」 どうやら今日の土方は一枚上手のようだ。 ラジカセから、結婚式独特の音楽が流れ出す。 ヒューヒュー幸せものー! なんて言葉があちらこちらから聞こえて、ワイワイと盛り上がっていた。 「ではでは誓いのキッスを~」 おぉおーっと盛り上がった所で、土方は姉上を静かに見つめて。 ゆっくりと時が進むように、ほんの一瞬唇を確かに合わせた。 「!十四郎さん…っ!」 「幸せにする。」 見つめる二人はもう夫婦のようだった。 「土方ー老けて見えるぞー」 「うるせェ!」 アハハと笑い声。 姉上はいつまでもずっと、頬を赤らめ俯いていた。 それでもにこりと微笑んだ姉上が、幸せ者すぎて。 涙が一粒、本当に一粒だけ、目からこぼれ落ちたよ。
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