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それから、何日かたって、変わらぬ日が続いて、本当に姉上の病気は、治るんじゃないかと、本気で思って。
でもそんな淡い期待は脆く崩れ去っちまった。
ある日突然、姉上が倒れた。
元気にパタパタと忙しなく動いてた、そんな日に。
『今日のご飯はチャーハンね』
『タバスコはやめて下せェよ』
ニコリ、と。
笑う姉上が。
バタリと動かなくなってしまった。
暫くして救急車が来て、先生が来てクラスメートが来て。
夜に響くサイレンの音が、耳にうるさく響いていた。
頭が真っ白になった。
何も考えられなくなって、突っ立ってたら無理矢理先生と一緒に救急車に乗せられた。
呆然として。
今の今まで笑顔で動いて、はしゃいでいた姉上が。
本気で死んでしまうかもしれない、と。
怖くて怖くて怖くて。
何もかもが見えなく、聞こえなくなった…。
「総悟!!!」
「……っ!!」
そんな中、現実に引き戻してくれたのは先生だった。
見たら先生が俺の肩を掴んで必死に、俺の名前を呼んでいた。
総悟、総悟、と。
ミツバにはお前しかいないんだ、と。
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