愛したいと心は言っていた

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だから、名前を呼んでやれ、と。 「姉上ェエ!!!」 何かが外れたように、俺は叫んでいた。 「姉上がいねェと、俺ァ…っ俺ァ…っ!!」 なァ姉上、どうすればいい? もし、もしも姉上が死んで、俺が一人になって、そしたら俺は、どうすればいい? 「心配停止!直ちに搬送して下さい!」 すぐさま手術室に運ばれてった姉上が、見えなくなるまで俺は目を離さなかった。 肩を押さえられ銀八に止められて、手を伸ばした先に、姉上はもういなかった。 「沖田!!」 「ドS!!」 「ミツバさんは…っ」 口々に言われて、俯いて笑って、首を振った。 今の所は分かりやせん、と。 笑うしかないよ。 自分が崩壊しそうで。 姉上が、唯一の家族の灯火が、今消えようとしているかもしれない中で…。 「ドSゥ…」 「!」 「我慢するなヨ、泣きたい時は泣けアル」 真剣に、神楽が抱きしめてきた。 声が震えて、嗚咽を我慢しながらそう言った神楽が、ぎゅうぅっと強く強く抱きしめてきた。 泣きたい時は泣けって、そう言うお前は、どうなんでィ。
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