愛したいと心は言っていた

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美雪と猿飛が争う。 アイツもあれから変わったなー…なんてしみじみ思いながら見ていた。 あの事件から早くも1ヶ月が過ぎ、いつの間にか美雪の見つめる先は銀八になっていた。 ま、どーでもいいけど。 「うぉいドS!!どこ見てるアル!お前またボインを見つめてたアルなァ!!」 「うるせーペチャパイ」 「ふん!ペチャパイで悪かったアルな、今はこうでもな、将来はボインでビューティフルアルヨ!」 「はいはい、お前らも痴話喧嘩してねェで席つけ…」 「「誰が痴話喧嘩っ」」 見事にハモった俺らに、姉上が、あらあらと笑った。 それを見て、ブスッと膨れたまま二人して席についた。 でも正直、姉上があんなに綺麗な笑顔を見せたもんだから、ついつい口元がニヤケてしまっていた。 「おい総悟、」 「へい?」 「お前、ニヤケすぎて気色悪い」 「ニヤケたいのは土方さんも同じじゃねェんですかィ?」 「あ?」 「姉上、凄い元気で、笑ってまさァ」 「……あァ、そうだな。」 ずっと病弱だった。 ずっと病院にいて、外を眺めるだけの姉上に、胸が痛まずにはいられなかった。 それでもいつも姉上は、笑っていた。
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