愛したいと心は言っていた

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時々、誰もいない病室で呟いた言葉が忘れられなくて。 お見舞いに来たとき、扉を開けられずに、立ち止まって、拳を握り締めていた事があった。 『……教室に…皆に会いたいな…』 …きっと、何気ない言葉だったんだろう。 姉上にとっては、そうなったらいいなっていう、誰しもが望むような、そんな些細な願いだったんだろう。 普段姉上は、人前でそんな風に言わない。 いつもニコニコと笑って、何でもないかのように振る舞って…、でもその時の姉上は。 泣いてるようにさえ見えたんだ。 だから、今がとても嬉しかった。 姉上が教室にいて、皆に笑いかけて、嬉しそうで。 本当に、嬉しいんだ。 「んじゃ、出席取るぞー!うん、今日は皆いるな、偉い偉い、」 「せんせー!新八君新型インフルエンザです!」 「あ?何言ってんのザッキー君、空気読みなさい、新八君ならそこにいるでしょう、」 「いや先生、それ眼鏡、ただの眼鏡だからァ!!」 「ふざけんな!いるっつってんだからいるんだよ!!空気読め、今日は全員出席はい以上!終わり!」 「え!ちょ、先生!え!?いいの?コレいいの?」 慌てる山崎に皆誰も助け舟なんてもんは出さない。 なんたってそれが3Zだ。
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