愛したいと心は言っていた

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「ごめんなさい、十四郎さん、」 「あ…いや、分かれば、いいんだ。」 分かればって、俺らまだ何も言ってねェぞマヨラーヘタレ。 「いはいからいいかけんはなへよほS」 「ほまえからはなせ」 せーのっつって二人して離した。 見事に奴のほっぺたには手形が。 多分俺にも手形がついてるだろう。 「なんっか面白くねェぜ、アイツすんげェニヤケてんぜ」 「気色悪いアルな」 赤くなる土方に、ハンカチで顔の汚れを拭き取る姉。 二人の世界だな、ありゃ。 周りの視線さえもはねのけるようなパワーを感じる気がする。 「弁当、食うか」 「アイアイサー」 土方の後ろではお妙さァ~んなんて廊下にぶっ飛んでった近藤さんが次の瞬間には真逆の方向に飛ばされていた。 どっちにしても…、見てられねェや。 昼が終わって、掃除になって、そん時チャイナを廊下で見かけた。 隣に銀八がいて一緒に笑ってんの見て、何故だかムカッとした。 こっちに気付いてアッカンベーなんてやられたから更にムカつく。 持ってたホウキがボキッて音を立てて、あっと思った時には使いものにならなくなっていた。 おかげで先行に怒られちまった。半分寝てたけど。
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