第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

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  「お前、それ以上口開けば、 アゲハを侮辱するだろう。 ………黙れ」 威圧感のある声で そう言う。 嵯霧は無言のまま、 美月の元へ寄る。 顎を掴まれ、 尚更、嵯霧を睨む。 「貴方はそのうち、 “独り”になるんですから……」 「っ、」 美月の瞳を真っ直ぐに見て、 冷たく言う嵯霧に対し。 美月の瞳は、揺らいだ。 「くだらない遊びなんか、 やめておくんですね」 スッ、と、 美月の顎から手を離す。 「まぁ、揚羽蝶と同じ立場の 私が言うことではないですが」 「……………」 またもや、 美月は悲しそうな、表情。 「“遊び”なんかじゃ、ないさ」 「……失礼しました」 バタンッ 嵯霧は、立ち去った。 「……………」 美月は、 窓の外を見た。 空は青く、澄んでいて。 果てしなく、広い。 手を、伸ばしてみた。 「君は捕まりそうで、 捕まらないよ……アゲハ」 彼を囚われてるのは、 やはり、 自由有りし、 捕まらない揚羽蝶、なのか。 .
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