◇始まりの旋律

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  アゲハは 声が震えそうなのを堪え、 口を開いた。 「……その人は、 何が何でもその願いを 叶えようとしなかったのか?」 「してない。 ……いや、出来なかった。 叶えようとしても、 周りの幸せを壊すことに なるからさ」 「……………」 一体、 どんな願いだったのだろう、と アゲハは思った。 そんなに、曲と同様、 切ないものなのか。 「最終的には、 己の欲望を犠牲にし、 “幸せ”を選んだ」 「……、……っ」 また、だ。 頭の中で映像が流れる。 「……願いなんて、 無ければいいのに……」 いきなりの その冷たい声に、 アゲハは背筋が 凍るようだった。 .
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