第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

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  長い長い廊下を、 一人で黙々と歩く。 目を閉じれば。 先程の、 美月の悲しそうな顔。 「……捕まったら、終わりだ」 そう、独り言のように、 呟いたのに。 「何が、終わりなんだ…?」 ピタッ、と足を止めた。 声がする前を見れば。 「……静」 自分が苦手とする、男。 静はこちらに向かってくる。 そしてアゲハの顎を掴み、 「会いたかったよ、アゲハ?」 ニヤッ、と笑いながら そう言った。 アゲハはその手を振り払い、 静を睨んだ。 「俺は二度と、 会いたくなかったよ」 その横を、 通り過ぎようとしたのに。 グイッ、と腕を引かれ。 「待てよ、アゲハ。 久しぶりに会ったんだからさ。 話、しようよ」 微笑みながら言う、静。 アゲハは、 ため息をついて。 静を、自室に入れた。 .
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