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「へー、相変わらず、
シンプルな部屋だな」
静は、
アゲハの部屋をぐるり、と
見渡す。
アゲハの部屋は
かなり広いが、
必要最低限のものしか、
部屋には置いてなかった。
「……座れよ」
「はいはい」
アゲハがそう言えば、
フカフカそうな
ソファに腰を下ろす。
アゲハも向かいのソファに座り、
「…………」
「…………」
しばし、
沈黙が続く。
「……なぁ」
「んー?」
だが、
アゲハが口を開いた。
「いつ、戻ってきた?
主人から、何も聞いてない」
「主人さんから、
何も聞いてないのか…?」
静は、
少しばかりに驚きながら言う。
そんな静に、
アゲハはイライラしていた。
「だから聞いてるんだろうが」
「うーん。
此処に戻って来たのは、
いまさっきだよ」
「…………。
お前なんか、一生戻ってこなきゃ
よかったんだ」
「ひどいなー」
アゲハは
不機嫌そうに顔を歪める。
本心、だった。
きっと、
静本人もわかっているだろう。
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