第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

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  満月は、 二人を照らす。 その揚羽蝶の唇は、 柔らかく、温かい。 深く、激しく、と。 そのキスだけでも、 すべては虜のようになる。 「はっ、……んぅ…、…あっ」 その、声も。 その、瞳も。 その、唇も。 その、肌も。 すべて、 翻弄されていく。 「あぁあっ!」 その姿は、妖艶すぎて。 ……美しい。 「ひゃあぁっ、んあっ!」 こんなに、 近くにいるのに。 何故。 この揚羽蝶は、 捕まらないのか。 捕まえたい。 「はっ、あぁあんっ!」 「……、……っ」 揚羽蝶よ、 此処に止まってほしい。 捕まえたいから。 ―――此処だけに。 揚羽蝶を抱く者は、 刹那に願っていた―――。 .
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