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満月は、
二人を照らす。
その揚羽蝶の唇は、
柔らかく、温かい。
深く、激しく、と。
そのキスだけでも、
すべては虜のようになる。
「はっ、……んぅ…、…あっ」
その、声も。
その、瞳も。
その、唇も。
その、肌も。
すべて、
翻弄されていく。
「あぁあっ!」
その姿は、妖艶すぎて。
……美しい。
「ひゃあぁっ、んあっ!」
こんなに、
近くにいるのに。
何故。
この揚羽蝶は、
捕まらないのか。
捕まえたい。
「はっ、あぁあんっ!」
「……、……っ」
揚羽蝶よ、
此処に止まってほしい。
捕まえたいから。
―――此処だけに。
揚羽蝶を抱く者は、
刹那に願っていた―――。
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