第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

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  「アゲハ」 「何ですか?美月様」 真っ白い、部屋。 美月はアゲハを、 優しく呼ぶ。 それに対して、 アゲハも優しく笑い、 返事をする。 美月は微笑みながら、 スッ、と手を伸ばす。 「こちらに、おいで……」 「はい」 アゲハは、 美月の元へ寄ると。 美月に、抱きしめられる。 温かさに、 アゲハは身を擦り寄せた。 目をそっと、つぶって。 美月は アゲハの髪を撫でる。 ずっと沈黙が続く。 その沈黙の時間は、 二人にとっては 心地良くて。 「……………」 ふと、 美月の手が止まる。 それに、 アゲハは目を開けた。 「美月様?」 見上げれば。 また、同じ悲しそうな顔。 美月は、呟く。 「……君が、 私だけのものになればいいのに」 髪に、 優しく口付けする。 .
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