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「アゲハ」
「何ですか?美月様」
真っ白い、部屋。
美月はアゲハを、
優しく呼ぶ。
それに対して、
アゲハも優しく笑い、
返事をする。
美月は微笑みながら、
スッ、と手を伸ばす。
「こちらに、おいで……」
「はい」
アゲハは、
美月の元へ寄ると。
美月に、抱きしめられる。
温かさに、
アゲハは身を擦り寄せた。
目をそっと、つぶって。
美月は
アゲハの髪を撫でる。
ずっと沈黙が続く。
その沈黙の時間は、
二人にとっては
心地良くて。
「……………」
ふと、
美月の手が止まる。
それに、
アゲハは目を開けた。
「美月様?」
見上げれば。
また、同じ悲しそうな顔。
美月は、呟く。
「……君が、
私だけのものになればいいのに」
髪に、
優しく口付けする。
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