第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

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  「……美月様」 アゲハは、 美月の頬を触る。 それに、 美月はアゲハを見る。 「私と美月様は、主従関係。 それ以下もそれ以上も ありません」 「……………」 美月は尚更、 悲しそうな顔をした。 やはり、切ないものだ。 例えそれが。 わかりきっていたことでも。 「だけど、貴方は“主”です。 私は“従”ですから、 貴方が私を求めば、 差し上げますよ」 綺麗に微笑みながら、 美月の唇に、己のそれを重ねた。 美月はただそれを、 受け止めていた。 だけど、 わかっているから。 “彼は誰にも捕まらない” 美月はアゲハの唇を 充分に味ると、唇を離す。 「んっ……」 甘い声が、 室内に響く。 .
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