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「……美月様」
アゲハは、
美月の頬を触る。
それに、
美月はアゲハを見る。
「私と美月様は、主従関係。
それ以下もそれ以上も
ありません」
「……………」
美月は尚更、
悲しそうな顔をした。
やはり、切ないものだ。
例えそれが。
わかりきっていたことでも。
「だけど、貴方は“主”です。
私は“従”ですから、
貴方が私を求めば、
差し上げますよ」
綺麗に微笑みながら、
美月の唇に、己のそれを重ねた。
美月はただそれを、
受け止めていた。
だけど、
わかっているから。
“彼は誰にも捕まらない”
美月はアゲハの唇を
充分に味ると、唇を離す。
「んっ……」
甘い声が、
室内に響く。
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