第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

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  コンコン 扉がノックされる。 美月はゆっくりと、 返事をした。 「はい」 ガチャッ 「失礼します」 入ってきたのは。 銀髪の、男。 銀髪なんて、 珍しいとアゲハは思った。 「……………」 見たことのない、はずなのに。 何故だろうか。 懐かしい感じは……。 「ああ、その銀髪……。 君が、嵯霧か」 「はい。 この度、屋敷の世話係を 任せられました。 嵯霧と申します」 そう言い、 深くお辞儀をする。 アゲハは、 その男を見つめていた。 頭を上げた嵯霧と 目が合った。 アゲハは微笑んだ。 それに対して、 嵯霧は、無表情だった。 「……アゲハ。 少し、席を外してくれないか」 「はい。失礼します」 「すまないね」 美月はアゲハの頬に、 キスをして、腕を離す。 アゲハは立ち上がると、 部屋を出ようと 嵯霧の横を通り過ぎようとした。 その時。 『逃げたって巡るばかりさ』 「!?」 嵯霧の声が、 そう聞こえた。 だが、嵯霧は黙ったままで。 「……………」 気の、せいだと思い、 アゲハ足をゆっくり進め その場から立ち去った。 バタンッ .
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