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凪は暗闇の中で、そこにはいない彼と話しをする。
…病院に行った日は、お腹の子供の話し、買い物に出かけた日は、そこでの出来事、友達に会った日は、友達のこと…。
まるで、見えない相手の声が聞こえるかのように、楽しそうに、話しをしている。
…そうかと思えば、急に泣き出し、部屋中の物を投げつけたりした。
…凪には、いつも、他の誰にも見えない何かが、見えていたらしい。
それは、ただの情緒不安定なんかではなかった。
…幻影、幻聴。
病気はもう、始まっていたのに、この症状が出てくるまで、誰も気付いてあげられなかった。
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