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高級マンションなんて初めて来た。
バイクを停め、ヘルメットを脱ぎ、ピザを抱えてエントランスへ。
部屋番号を少し緊張しながら押すと
スピーカーから「だれ?」という声が聞こえてきて
ぎくりとする。
「あ、ピザお届けに参りました」
そう告げると返事もなく、
閉まっていたガラス扉がすっと開いた。
Sugar×Sugar
垣内…、うさぎ?
表札には垣内兎波と書かれていた。兎に波。
なんて読むんだろう。
そんな事を考えながら深呼吸をひとつして
部屋のチャイムを鳴らすと、
程なくして部屋の主が現れた。
………。
なにこの人。
変わった人。
歳は僕より少し上っぽい。
背丈は184㌢の俺より頭一個ぶん小さく、
多分160あるかないか。
見るからに柔らかそうな猫毛っぽい黒髪は
寝起きなのか所々ぴょんぴょんと
寝癖がっいる。
男の人にしては珍しい
ピンク色のTシャツ。
そんな事より気になってたのはクマの縫いぐるみ。
左手に、まるで手を繋ぐかのように、
縫いぐるみがぶらんと
垂れ下がっていて、その姿はまるで、縫いぐるみを抱いて寝て起きた子供のようだった。
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