第一話:双頭の蜘蛛と失われた記憶

10/36
前へ
/943ページ
次へ
「『着いたね!』」 二人の可愛らしい女の子が、改札口の前に手を繋いで立っていた。 「でも気配が無いね……」 『無いね……』 一卵性双生児という言葉がピッタリな程、二人はよく似ていた。 周囲も注目しておかしくないのだが、誰も二人を見ない……気付いていないのだ。 「捜そっか!」 『捜そうよ!』 邪気がまるで無いかのように振る舞う二人の少女は、顔を見合わせて笑った。 「『継承者』」 二人の少女がいることを誰も気付くことはなく、喧騒に溶け込むようにして消えた。
/943ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3443人が本棚に入れています
本棚に追加