第一話:双頭の蜘蛛と失われた記憶

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画面に表示された『ERROR』の文字を見て、恵美理はまたしてもうなだれた。 この文字を見たのは何度目か……。 「も~、なんで繋がんないのよ……」 「正規のルートも裏のルートも通じないとは……国が隠蔽してるだけありますね」 連絡手段が全く見付からない圭介と恵美理は、【本部】の中枢にアクセスしようと奮闘中なのだ。 が、国の端末に侵入出来る位でそれから先は……というのが現状である。 「どんな方法だったら良いのよ!?」 「まあまあ、取り敢えずお一つどうぞ」 机の上に置いていたチョコレートを渡すと、恵美理は口の中に放り込み少しだけ落ち着く。 「真面目に連絡を取ろうとして駄目、国の端末からアクセスしようとして駄目……」 「他にありますかね……」 『主人』 悩んでいた二人が振り返ると、後ろには恵美理の使い魔である狗羅が二人を見上げていた。 「なに?今凄く忙しいんだけど?」 恵美理は不機嫌さを隠そうともせずに狗羅に言う。
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