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『敵が現れた。それも妖魔ではない別のタイプだ』
その一言で恵美理の不機嫌さは、目に見えて一層増した。
圭介は座った状態で、少しだけ恵美理から下がる。
「翼はいつ帰って来るの?」
「まだでしょうね……いろいろと神楽さんと話すこともあるでしょうし」
『我等でやるしかないようだ』
翼は舞と雅人の元に行ってしばらく帰らない。
そうなると、今回は三人でなんとかするしかないのだ。
「人が必死に連絡取ろうとしてんのに……もぉ!」
「今やれるのは僕達しかいませんからね」
立ち上がると、圭介はクローゼットから何かを取り出した。
「大神君達がいない間は僕達で頑張るって、決めたばかりでしょ?」
恵美理はそれを受け取り、バッと広げた。
「圭介……本ッ当に律儀よね。真面目を立体化した感じ」
「そうさせたのは先輩ですよ?恨むなら自分を恨んで下さいね」
「はいはい……まっ、特訓の成果を試すチャンスでもあるしね」
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