第一話:双頭の蜘蛛と失われた記憶

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「今度はこっちだね」 その後ろからメメが手の甲を恵美理に向けると、先に分銅のついた鎖が恵美理に向かって放たれた。 恵美理はとっさに避けると、もう一度焔弾を放った。 『無駄だよ』 二度目のネネの声が響くと、また同じように『焔』が消えた。 『まさか……『吸収』か!?』 二人は笑みを浮かべるだけで答えることはせず、再び鎖分銅を恵美理に放つ。 「圭介!!」 その声の意味を圭介は理解し、すぐに狗羅と共に下がる。 恵美理は分銅を避けると一気にメメに向かって走り出し、距離を詰めた。 「これで!!」 拳を振り上げた恵美理の前にネネが立ち塞がると、またしても両手をかざした。 物理攻撃も防ぐのかと思った瞬間、ネネは不適な笑みを浮かべた。 「ヤバ……」 身の危険を感じた恵美理は、躊躇うことなく下がった。 僅かに遅れてネネの両手から放出されたのは、恵美理の『焔』だった。 零距離から反射で避けるも完全には避けきれず、耐熱であるはずのコートの端を焼いてしまった。
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