第一話:双頭の蜘蛛と失われた記憶

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「『それで終わり?』」 「なっ!?」 恵美理は言葉を失った。 そこには、無傷の状態でメメかネネが立っていた。 舌打ちして一人になった少女を見ながら、集中してもう一人がどこにいるのかを探る。 「『私はここだよ』」 一人分の声の響きでないことに気付き、恵美理は全神経を目の前の少女に集中した。 「『私達は、本来二人で一人なの』」 「二人で……一人」 攻撃と防御を分かれて行っていた二人が、一人になる……。 つまりこのネネ(またはメメ)は一人でどちらも行えるようになり、共に動く必要がないため二人の時よりも自由に動けることになる。 それだけではない。 狗羅の言った『吸収』が本当にネネの能力だとすれば、攻撃方法は鎖分銅だけではなく恵美理の『焔』も含まれることになる。 『主人、ここは一旦退くのだ』 「……あんたもそう思う?」 警戒態勢を取りつつ、いつの間にか足下にやって来ていた狗羅に賛成した。
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