第一話:双頭の蜘蛛と失われた記憶

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『雅人、しっかりしてよ!!雅人!!』 『精神と肉体の分離!?』 『リュウイチ!!』 『分かってる!!』 『舞ちゃん、雅人から離れて!!』 翼はその光景を、ただ見ていることしか出来なかった。 後に聞いた話では、雅人が倒れることは龍一もキュラミスも覚悟していたらしい。 が、実際はそうではなかった。 雅人に付加された式はただ『生贄』の機能以外を備えていたのだ。 『ケルベロスの召喚が叶わなかった場合、ゲイン・アイスナーは雅人の精神と肉体を分離するように細工したんだ。結果……』 結果、雅人は意識不明に陥った。 そして現在も…… ピピピピッ、ピピピピッ! 翼は腕時計のアラームの音で目を開き溜息をついた。 自己反省するなら、全く精神を統一出来なかった……ぐらいだろう。 「…………」 何をすればいいか、全く分からない。 舞もツキも雅人もいない今、自分が何をすれば良いのか……。 最近魅些魏を継承してトレーニングをしていないのが、その証拠だ。 翼は立ち上がると鞄を手にして、本堂から出た。
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