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『雅人、しっかりしてよ!!雅人!!』
『精神と肉体の分離!?』
『リュウイチ!!』
『分かってる!!』
『舞ちゃん、雅人から離れて!!』
翼はその光景を、ただ見ていることしか出来なかった。
後に聞いた話では、雅人が倒れることは龍一もキュラミスも覚悟していたらしい。
が、実際はそうではなかった。
雅人に付加された式はただ『生贄』の機能以外を備えていたのだ。
『ケルベロスの召喚が叶わなかった場合、ゲイン・アイスナーは雅人の精神と肉体を分離するように細工したんだ。結果……』
結果、雅人は意識不明に陥った。
そして現在も……
ピピピピッ、ピピピピッ!
翼は腕時計のアラームの音で目を開き溜息をついた。
自己反省するなら、全く精神を統一出来なかった……ぐらいだろう。
「…………」
何をすればいいか、全く分からない。
舞もツキも雅人もいない今、自分が何をすれば良いのか……。
最近魅些魏を継承してトレーニングをしていないのが、その証拠だ。
翼は立ち上がると鞄を手にして、本堂から出た。
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