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「ん……」
病室から入ってくる太陽の光に、舞は思わず目を細めた。
どうやら椅子に座ったまま眠ってしまったらしい。
目を擦り未だ目覚めない少年を、舞は飽きもせず見つめ手を握る。
それ以外にどうしようもなかった。
「起きてよ……」
何度この言葉を掛けたか……言っている本人ですら覚えていない。
今の舞にとって、雅人が生きていること……それが唯一の希望だ。
「翼も圭介君も、恵美理もクロも……みんな心配してるよ?」
握った手を両手で包み込むも、反応は全く無い。
目を覚ますことのない少年に、舞は必死の思いで何度も呼び掛けた。
「起きてよ……雅人」
どれだけ名を呼んだところで、雅人は目覚めない。
舞は涙が溢れていることにも気付かず、何度も呼び掛けた。
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