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翼がどれだけ落ち込んでいても、周りの騒がしさはいつもと変わりない。
雅人が意識不明だということを知ってるいるのは、ほんの僅かなのだ。
「あっ、おはようございます」
翼は自分に向かってくる圭介へと、小さく頭を下げて挨拶をした。
翼の曇った表情を見て、歩いて来る圭介は僅かに顔を俯けた。
「大神君は、まだ……」
翼は何も言わず小さく頷き、圭介は小さく溜息を吐いた。
「舞さんも帰って来ていません。雅人さんにつきっきりで三週間になります……」
「ツキさんは?」
「消えたまま……雅人さんが倒れてから、ずっとです」
被害者は雅人だけではなかった。
雅人が倒れてからしばらくしてツキの姿が全く見えなくなり、同時に龍一とキュラミスも消えた。
あの二人は【組織】を脱退しているため、どこかへ消えたということは予想がつくが、問題はツキだった。
舞と翼の見解では、雅人が意識を失ったことでツキへ『気』の供給が出来なくなったというものだが確証がない。
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