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雅人が入院しているのは町の中心にある、大きな病院だった。
しかし決して医療設備が整っているというわけではない。
整える必要がないのだ。
雅人が負ったのはケルベロスと繋がっていた式が破壊されたことによる、精神的ダメージ……外傷はほとんどない。
翼は病院に入るとすぐに階段を登り、四階を目指した。
どこに雅人の病室があるのかは、何度も来ているので分かっていた。
四階に着くと右に曲がり一番奥の部屋に辿り着くと、ドアを二度ノックしそっと開ける。
そこにいたのは、いつもとは違う舞だった。
「舞さん」
「……翼?」
振り返った舞は、目が腫れて充血していた。
さっきまで泣いていたことがよく分かる。
雅人はあの時と変わらず、眠ったままだ。
「まだ……ですか?」
「うん。まだ起きない……かな」
翼は言って後悔した。
実は自分を驚かすために演技をしている……そんなことを期待した自分が馬鹿だった。
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