98人が本棚に入れています
本棚に追加
剛史は、授業が終わってすぐユニフォームに着替えると、友理奈がよくいる校庭の日陰に向かった。
友理奈がいるのが遠くからでも分かる。
長い髪を左に一つにまとめていた。
こっちを向いてくれたら自然に話せるのに・・
剛史は少しずつ近づきながらチャンスを待った。
亜紀が先に気付く。
「剛史~!」
剛史は必死に動揺を隠したが、顔は真っ赤だった。
友理奈も驚いて振り向く。
「あ、部活は?」
友理奈は動揺を見せずに自然に話すのが得意だ。
「おー行くよ、これから」
この後に「じゃあ頑張って」と言えば会話が終わって剛史は行ってしまう。
でもここから話も見つからない。
「何時から?」
とっさにどうでもいい質問を思いついて聞いた。
「あ~、、もう行くけど。あの、、それとあと・・・」
「なに?」
「帰り待っててくんね?」
「ん、うん」
友理奈は迷わずに答えた。
「じゃあ後で」
ほっとしたように剛史は手をあげて背中を向け走り出した。
亜紀が友理奈をいたずらっぽく見る。
友理奈ははにかんだ。
最初のコメントを投稿しよう!