10年目の会話

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10年目の会話

―交際10年後― パジャマのままポストを見に行くと、いくつか郵便が来ていた。 郵便を拾いあげ、友理奈は部屋に戻った。 郵便物を無造作にテーブルに置く。 ダイレクトメールが三通。一つはデパートのバーゲン。 もう一つはアロマテラピー講座の案内。 5年程前に資料請求してからもう何年も届いている。 「しつこいなぁ」 三通目はカード会社が提携している保険の案内だった。 元気なうちに入っておかなきゃかな。 すぐにベッドに横たわり、生理痛の下腹部に手を当てそのまま優しく撫でた。 生理痛と言っても座ると痛みで立ち上がりたいほどひどい。 生理前の排卵痛は仕事中にも声をあげるほど痛かった。 生理で何日も休めないので、倦怠感と眠気がひどい初日の今日だけ休むことにした。 携帯のバイブレーションがフローリングの床でブルブルと響いた。 「体調はどう?あんまり無理しないで早く寝ろよ」 「ありがとう、でも痛みで歩けないほどだったときに比べたらずっとましだから」 数分の会話で電話を切る。付き合って10年にもなれば余計な会話はしないし、お互いのことはよく分かる。 よく分かるもの、と思いこんでいただけだったのかもしれない。
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