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家に帰ると誰もいない。
ずっと母親と二人暮らしだ。
鍵っ子だからと母親は友理奈のために、沢山の食事を用意してくれた。
作りたてのような最初から温かい食べ物は滅多にないけれど、食べ物に困ったことはない。
あるものを何でも食べたし、食べることしか楽しみがなかったのでそのお陰で好き嫌いはなかった。
ただ誰もいない家に帰るのは苦痛で、一人でいるのが嫌だった。
この日も、レンジで食事を温めて食べる。
寂しい暮らしには、剛史が一層明るい存在に映る。
剛史は、後先考えずに直感で動くところや、頭の回転が早く次々と話題が豊富なところも含めて自分とは違う魅力があるとも感じていた。
本来好きなタイプは自分と同じように穏やかで、大人しい感じの男性だった。
理想の父親像を求めているのだろうか。
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