第一幕 [片腕の人形師]

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夜の町外れの道をボロボロのコートを着た男が歩いていた そんな男が何かを捜すように辺りを見回す様は不気味としか言いようが無い そう大きくない町に比べると反対側の町外れに構える城は随分立派に見える。その城下町を一通り見回した男はある建物を目ざとく見つけ出す 喧騒に包まれるその建物はおそらく居酒屋か何かであることが見てとれた 何の躊躇も無しに店に足を踏み入れる 「「「「「…ッ!!」」」」」 何かを議論していた最中だったのか真ん中のテーブルを大勢の客や店員と思われる人達が囲んでいた。 奇妙な事に、皆が皆男の方を驚いた顔で見ていた。中には明らかに敵意を持って睨む者までいる しかしそんなことお構いなしに男はカウンターテーブルに腰掛け、掠れる声で一言言った 「み、……みず…。」
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