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男が振り返った先には小さな少年が一人居て男を睨んでいた。いささか居酒屋に居るのは場違いな感じはあるが、ここにそんな小さな事を気にする輩は居ないのか、誰も少年の存在を特別視するものは居ない。
そのままカウンターまで早足で来ると少年はカウンターの婆さんを一睨みする。
そのまま数秒睨み合ったかと思うと少年は再びこっちを睨み
「よそ者に話すことなんか何もねぇよ!さっさと出てけ!」
と言い放つ
「ラトっ!客に対してなんて事言うんだい!!」
「うるせえよ!」
少年はどうやらラトと言う名前らしい。
そんなどうでもいい事を考えながらラトと婆さんのやり取りを傍観していると再び店は喧騒に包まれる。
「だから、それじゃあ奴らのやり方を認める事になる!!」
「それじゃあ一体どうすればいいんだ!」
喧騒は尚も勢いを増していく
細部はわからないがどうやら2派に別れているらしく、その代表同士がが口論しているらしい
「ただ闇雲に反発するだけでは道は開けない!」
「戦うんだよ!話し合いでどうにかなる相手じゃねえだろ!」
がたいの良い男が机を叩き、そう怒鳴ると、後ろにいた男達もそれに賛同するように声をあげる。一方対立するスーツ姿の男は戦うと言う単語が出て来たことで顔を苦渋に染める
「戦って勝てる相手じゃないだろ……。」
スーツ姿の男が堪える様に弱々しく言う
「それでも、今みたいに奴らの好きにさせるよりはマシだ!」
「犬死にだと言っている!!」
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