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男は目を覚ました。
男は次、目を覚ます時は地獄にいると決めつけた……だが、今居る場所は地獄なんかじゃない。
とある家の寝室のようだ…。
「あ、起きましたか?」
後ろから話しかけられると男はゆっくり振り向いた。そこには、綺麗な黒い髪と可憐な顔をした娘が微笑んで座っていた。
男「…ここは…」
娘「私の家です」
男「…」
男はしばらく、娘にみとれた。
だが、ある事に気づいた。今、自分が着ている着物は自分が着ていた着物とは違う。
傷は治療されていた。
男「…俺の着物は?」
娘「あなたが傷だらけで着物も斬れて、血で汚れていたので…
洗って今は干しています。干し終わったら、すぐ繕います」
男「…そうか…」
娘「…あの、名前を教えていただけますか?」
男「名?
…聞く時はまず己から名乗るものだ…」
娘「私は梓と申します」
男「…梓、か。
いい名だな」
梓「そうでしょうか?」
男「俺は…柳(ヤナギ)だ」
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