記憶

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「だりぃー」 また引越しか。 確かに春先は、引越しが多いだろう。 だが、毎年引越しとなると、うざく感じる。 俺は、部屋の掃除をしなければいけない。 本や置物を段ボールに詰めて、仕分けしていく。 それを何度も繰り返していく。 「ん?」 押し入れの一番奥に、一つの段ボールが出てきた。 ガムテープでグルグル巻きになっている段ボール…しかも、汚い字で“あけるな、禁止”と書いてある。 「“開けるな、危険”だろが。これは見せられないな」 俺は時計をみた。 あと2時間…か。まぁ、見るだけだから、時間かからないだろう。 おれはカッターで、ガムテープを裂いた。 中には、分厚いアルバムが一冊と手紙が二通あった。 アルバムは、時間がかかりそうだから、手紙を見るか。 手紙は丁寧にのりずけしてある。でも、切手と宛て先、送り主名がない。 「誰かにこのまま貰ったのかな?」 タイムカプセルか? 俺が、自分自身に書いたのか? まぁ、中身を見れば分かるさ。 封を切った。 中には、二枚の手紙。 しかも、二枚とも違う色、形だった。 一番上のを読んだ。 “親友の策へ~ お前がいなくなることは、俺にとって世界が無くなるみたいだ。 お前にもう一度会えるなら、どんな苦痛でも、耐えてやる。 いつか、あの場所で三人で遊ぼうな! ~お前の親友より” ……なんだ、この意味不の手紙は!つか、名前書けよ! 三人って、誰だよ? 全然わからない、思い出せない。 「次の見たら分かるかな?」 俺は次の手紙を見た。 「んと……何だこれ!字が薄れて見えないじゃん!」 微かに見える字。 しかも、暗号みたいになってる。
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