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俺が通ってた幼稚園内のブランコ前。
空は、綺麗なオレンジ色。
風も吹く度気持ち良かった。
空には、家路を急ぐカラスたち。
それを見て、俺は歌いたくなった。
「ねぇ、佳衣(かえ)ちゃん?あれ、うたおうよ、あれ!」
佳衣と呼ばれる少女は、ブランコに乗っていた。肩まで伸びた黒髪、ねずみいろの制服を着ている。
佳衣は俺の方を見つめ、そしてニカッと笑い、
「いいよっ!」
二人は、誰が見てもお似合いだった。いつも二人、どちらかが休むと泣き止まない程だ。
俺と佳衣は、重いっきり息を吸い込み、
「せぇーの!」
“カーラースぅ、なぁぜ泣ーくーのぉ、カーラースの勝手でしょー!”
「アハハハハ!」
俺と佳衣は大声で、カラスがビビるほど笑った。
先生が遠くで、叫んでいた。
「策(さく)くーん!お迎え来たよー!」
俺はこの瞬間が大っ嫌いだった。
俺は、佳衣の前に走り寄り、
「佳衣ちゃん!おおきくなったら、ケッコンしよっ!!」
佳衣は、さっきの笑顔以上に笑い、
「うん!ケッコンして、二人で一緒におっきなおうちにすもうねっ!!」
俺は多分、顔がとても赤くなっていただろう。
「やったあ!じゃあ、あしたはおうちのセッケイズをつくろうね!バイバーイ!!」
「さくぅー!また、あしたねー!」
佳衣は手を重いっきり振っていた。だから俺も、佳衣が見えなくなるまで降り続けた。
明日がどうなるかを知らないで…
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