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親は、幼稚園内を入ってはいけない規則なのだ。だから、先生に手を引かれて門までいく。
いつも通り、手を引かれて門に近づいてきた時、
「おい、策!しんゆうにあいさつなしで帰ろうなんて、かんがえてないよなぁ?」
後ろを向くと、腕組みをした少年が俺を見ながら笑っていた。
「一郎太(いちろうた)!そんなわけないだろう!あいさつしなかったことあった?」
一郎太と呼ばれていた少年は、近づいてきて、
「そうだよな。いつもあいさつしてるもんな!……それで?しゃいきんどうよ?」
俺は悩んだ。なんの状態がどうなのか。
「なんの?」
一郎太は、俺の頭を殴った。
それと同時に先生に頭を一郎太は殴られた。
「いっててて、きまってんだろが!佳衣ちゃんとの“あい”だよ、あーい!うまくいってんだろ?」
俺は一瞬で暑くなった。
「な、なにいってんだよ!」
先生も人間だ、やはりその話に興味があるみたいだ。
「人生で、あれこれ経験してきた私に話してみなさい!さぁ!」
ひどい、ひどすぎるよ神様!僕は何かしましたか?
「“ぷろぽーず ”した…そしたら、“いいよ”っていわれただけだよ!」
一郎太と先生は笑ってしまった。何が面白いんだ?
「策!オマエっ、おもしれぇヤツだな!やっぱ、しんゆうだわ!ハハハハ!」
「先生もあなたが居てくれて、毎日嬉しいわ!フフフフ」
「うるさい、うるさい!バカにすんな!ふんっ、ケッコンしても、“ぱーてぃ”によんでやんない!」
一郎太は笑うのを止めた。泣きそうな顔をして、土下座した。
「うそだよ!だから、パーティーによんでよー!うぇーん」
泣き始めた。こいつは泣くと、なかなか泣き止まない。
止めるには、お菓子を口に入れればいい。シンプルだ。
俺は鞄から“3時のおやつ”たちを出し、一郎太の口に突っ込んだ。
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