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一郎太の口は、俺が詰めたお菓子でいっぱいだった。
「うぐっ、もぐもぐ…」
俺は溜め息をついた。何でこいつを助けなくちゃいけないんだ。
「おちついた?」
先生はポケットからティッシュを取り出し、一郎太の涙を拭いていた。
「ぐすんっ、うん。ありがとう」
「きにすんなよ!じゃあ、俺はかるから、じゃあーなー!」
俺は後ろ向きに走った。手がちぎれんばかり振った。
「バイバーい!!またあしたなー!」
「またねー、策くーん!」
俺は二人の挨拶を受けながら門に走った…
門のすぐ横に、黒いベンツがあった。あれは俺ん家のだ。たしか、あの車はオークションで買ったとか…
まぁ、そんなのどうでもいい。早くお袋に会いたかった。
「かぁーさーん!!」
俺は腹の底から声を出した。犬を連れて歩いていた人が、ビックリして俺を見てた。
お袋は窓から顔を出し、ニコッと笑っていた。
「策ぅー、あまり五月蝿くしないのー!お尻叩いちゃうわよー?」
お袋の尻叩きは、親父でも泣く程だ。
俺は死にたくないので、そそくさと車に走り寄った。
お袋がドアを開けてくれた。
それと同時に車の中にダイブした。
こうやって、毎日帰る。
家は、幼稚園から10分くらいだ。
しかし、その日は道が違った。
そして、家ではなくデパートに入っていった。
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