最初の別れ

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ここを発つのは明日だ。 つまり、皆と明日で“さようなら”なんだ。 その前の日の夜は寝られなかった。 記憶が巡り巡って、寝付けない。 あぁ、朝が来ちゃった。 お月様?昇ってきていいよ!太陽さんをお家に帰して? そんな願い起きるはずもなく、お袋が起こしにきた。 「策ぅー、起きてー!!」 鼓膜が破れるよ! つか、もう起きてますから!! 「おきてるよ!!はやく、ようちえんに、いかないといけないもん!」 それから30分後、幼稚園に出発しました。 幼稚園に着いたとき、一郎太が門前にいた。 なんだろ?一郎太、いつもなら中にいるのに。 「おはよー、一郎太」 一郎太は、つくり笑いをした。顔が引き攣ってますよ? しかも、なんで目が腫れてるの? 「あぁ…おはよう!!きょうは、佳衣としゃんにんであそぼうぜ!」 変な奴…もしかして、もう知ってんのか? 「うん!しゃんにんであそぼう!」 俺は一郎太と共に門をくぐった。 いつものブランコの所に、佳衣ちゃんはいた。 「おはよう、佳衣ちゃん!あのね、佳衣ちゃんと一郎太と、俺のしゃんにんであそぼうよ!」 佳衣が顔を上げた。 えっ?一郎太と同じ目…なんで?まだ言ってないよ? 「グスッ、う、うん!いっしょにあそぼ!」 いつ言おうかな。ちゃんと言わないといけないことだし… 帰るときで…いいよね? 俺たちは遊びに遊びまくった。もう走れないほど遊んだんだろう。 いつの間にか夕日が見える。 先生が俺を呼びに来た…
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