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円らな黒い瞳。
小さな体。
柔らかくて、温かい体。
すりすりとすり寄り甘える姿に思わず手を伸ばす者も珍しくない。
白い体に、手を滑らせると微かに体が強張る。
「待ってたのか?」
「みゃあ…」
白い、小さな子猫。
優しげな目でその子猫を見つめるのは、制服を身に纏った高校生男児。
焦げ茶色の髪に、それなりに整った顔立ち。
緩やかに口元を上げ、子猫の喉を撫でる。
子猫は気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らし目を細めた。
「あ…そうだ。お前の名前、やっと決まったんだぜ」
「にゃ?」
ふっと寂しげな笑みを子猫に向ける。
「…冬菜。お前の名前は冬菜だ…」
子猫は嬉しそうに、泣いた。
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